- 1 1. はじめに
- 2 2. GUID/UUIDとは何か
- 3 3. JavaScriptでGUIDを生成する基本的な方法
- 4 4. コード実例(ブラウザ/Node.js)
- 5 4-1. ブラウザでGUIDを生成する
- 6 4-2. Node.jsでGUIDを生成する
- 7 4-3. UUIDの形式変換(ハイフン除去・大文字化など)
- 8 4-4. 「やってはいけない実装」例
- 9 5. 生成したGUIDを使う場面とベストプラクティス
- 10 5-1. データベースの主キーとして使う場合
- 11 5-2. フロントエンド側での一時IDとして使う
- 12 5-3. トラッキングID・セッションIDとして使う
- 13 5-4. ファイル名・ディレクトリ名として活用する
- 14 5-5. 名前空間UUID(v5)が必要になるケース
- 15 5-6. 実務でのベストプラクティスまとめ
- 16 6. よくある誤解・落とし穴
- 17 6-1. 「GUIDは絶対に重複しない」という誤解
- 18 6-2. Math.random() ベースのUUID風関数は本番に使えない
- 19 6-3. ハイフンを独自に変えたり、短縮するのは要注意
- 20 6-4. セッションIDとしてそのまま使うのは危険
- 21 6-5. DBのインデックスが急激に遅くなるケースがある
- 22 6-6. UUID v1 の時刻情報でプライバシーが漏れる可能性
- 23 6-7. uuid ライブラリとブラウザAPIを混在させるミス
- 24 7. 導入・利用時チェックリスト
- 25 7-1. UUID生成方法のチェック
- 26 7-2. UUIDの形式・仕様の確認
- 27 7-3. データベース利用時のチェック
- 28 7-4. セキュリティ用途のチェック
- 29 7-5. プロジェクト内で生成方法が統一されているか?
- 30 7-6. 運用面のチェック
- 31 8. まとめ
- 32 8-1. GUID/UUIDとは何か
- 33 8-2. JavaScriptでの生成は crypto.randomUUID() が基本
- 34 8-3. 環境や用途によってライブラリやフォールバックを併用
- 35 8-4. 使いどころとベストプラクティス
- 36 8-5. よくある誤解と注意点
- 37 8-6. GUIDの導入は「目的」と「環境」で選ぶ
- 38 9. FAQ(よくある質問)
- 39 9-1. GUIDとUUIDは何が違うのですか?
- 40 9-2. JavaScriptで最も安全なUUID生成方法はどれですか?
- 41 9-3. Math.random() を使ったUUID風のコードは使ってはいけませんか?
- 42 9-4. Node.jsでUUIDを使う場合、ライブラリは必要ですか?
- 43 9-5. UUIDの一部を切り取って短縮するとどうなりますか?
- 44 9-6. UUID v1(タイムスタンプ型)を使ってもいいですか?
- 45 9-7. UUIDはセッションIDとして使っても大丈夫ですか?
- 46 9-8. UUIDの衝突は実際に起きますか?
- 47 9-9. DBの主キーをUUID v4にすると重くなると聞いたのですが?
- 48 9-10. フロントエンドとバックエンドでUUIDが混在しても大丈夫?
1. はじめに
JavaScriptで開発をしていると、
「一意なIDを振りたい」「被らない識別子が欲しい」
という場面が意外なほど多くあります。
- フロント側で一時的にデータを管理したいとき
- ToDoリストやチャットメッセージにIDを振りたいとき
- バックエンドやDBに送る前にクライアント側でユニークなキーを仮採番したいとき
こうしたシーンでよく登場するのが「GUID」や「UUID」と呼ばれる仕組みです。
英語の情報やライブラリのREADMEでは「UUID」がメインですが、日本語では「JavaScriptでGUIDを生成する方法」などの検索ニーズも多く、「GUID」と「UUID」が混在して使われています。
GUID/UUIDをきちんと理解して使いたい人へ
本記事は、次のような人を想定して書いています。
- JavaScriptで「とりあえずそれっぽいID生成関数」をコピペして使っている
crypto.randomUUID()という関数を見かけたが、何が良いのかよく分かっていない- ライブラリの
uuidを使うか、自前実装で済ませるか迷っている - 「GUID」「UUID」「v4」「v5」といった用語を整理したい
単に「コピペして動けばOK」ではなく、
どの方法がどういう特徴を持ち、どんな用途に向いているか
まで理解できることを目指します。
本記事で解説する内容
この記事では、以下の流れで「JavaScriptでGUID(UUID)を扱う方法」を整理していきます。
- GUID/UUIDとは何か、どんな場面で使われるのか
- JavaScript標準API(
crypto.randomUUID())でGUIDを生成する方法 - 独自実装でランダムなIDを生成する場合の注意点
uuidなどのライブラリを使うメリット・デメリット- 実際のコード例(ブラウザ/Node.js)と、よくある落とし穴
- データベースやログ設計でGUIDを使うときの考え方
- 初心者がつまずきやすいポイントを整理したFAQ
初心者の方でも読み進められるように、
できるだけ専門用語をかみ砕きながら説明していきます。
2. GUID/UUIDとは何か
まずは、そもそも「GUID」「UUID」とは何かを、ざっくり押さえておきましょう。
2-1. GUIDとUUIDの意味
- GUID:Globally Unique Identifier(グローバル一意識別子)
- UUID:Universally Unique Identifier(ユニバーサル一意識別子)
どちらも「世界中でほぼ重複しないように設計されたID」を指す言葉で、
実質的にはほぼ同じものとして使われることが多いです。
ざっくり言うと、
「滅多にかぶらないように作られたランダムっぽい長いID」
と思っておけばOKです。
歴史的には「UUID」が標準仕様(RFC)として定義されていて、
Microsoft系の世界で「GUID」という名前が広く使われてきた、という背景があります。
JavaScript界隈では、公式の仕様書やライブラリでは「UUID」という表現が多いですが、
日本語ブログやQ&Aサイトでは「JavaScriptでGUIDを作る」「GUID生成」といった表現もよく見かけます。
2-2. UUIDの一般的な表記形式
UUIDにはいくつかバージョンがありますが、
よく見る形式は次のような文字列です。
123e4567-e89b-12d3-a456-426614174000
特徴は次の通りです。
- 16進数の文字(0–9, a–f)で構成される
- 8桁-4桁-4桁-4桁-12桁 の合計36文字(ハイフン込み)
- バージョン4(ランダム型)がよく使われる
記事内で紹介するJavaScriptの crypto.randomUUID() も、
この形式のUUIDを返します。
2-3. どんな場面で使うのか
GUID/UUIDは、次のような場面でよく使われます。
- データベースの主キー
- 数値の連番IDの代わりにUUIDを使うことで、
複数サーバー・複数クライアントからでも衝突しにくいIDを発行できる。
- 数値の連番IDの代わりにUUIDを使うことで、
- フロントエンド側の一時ID
- ReactやVueなどで、リスト要素に一意なキーを付けたい
- まだサーバーに保存していない一時データに暫定IDを振りたい
- トラッキングID・セッションID
- ユーザーごと、リクエストごとにIDを発行し、ログで追跡しやすくする
- エラーログやサポート問い合わせに「このIDを教えてください」と書いておく
- ファイル名・一時ディレクトリ名
- かぶりにくいファイル名を自動で付けたい
- 一時的なワークディレクトリをユニークに作りたい
「とりあえず連番でいいか」とすると、
- 複数サーバーで管理しにくい
- 推測しやすい(セキュリティ的に弱い)
といった問題が出てくるので、
「世界中でかぶりにくいIDを簡単に作れる」UUIDはとても便利です。
2-4. 「絶対に」かぶらないわけではない
GUID/UUIDは、
「天文学的に低い確率でしかかぶらない」よう設計されていますが、
理論的には「絶対に重複しない」とは言えません。
とはいえ、ランダム型UUID(v4)の衝突確率は現実的には無視できるレベルなので、
- 通常のWebアプリケーション
- 業務システム
- 個人開発レベルのサービス
であれば、事実上「一意なID」として扱って問題ありません。
ここまでで、
- GUID/UUIDが何者か
- どんな形をしているか
- どんな場面で役に立つか
がおおまかに掴めたと思います。
3. JavaScriptでGUIDを生成する基本的な方法
JavaScriptには、GUID(UUID)を生成する方法が大きく分けて3つあります。
- 標準APIを使う方法(最も推奨される)
- 独自実装の関数でランダム文字列を生成する方法
- 外部ライブラリ(uuid)を使う方法
それぞれにメリット・デメリットがあるため、
目的や環境に応じて使い分けることが重要です。
ここではまず概要をつかんでから、順番に詳しく見ていきます。
3-1. 推奨:crypto.randomUUID() を使う(ブラウザ標準)
もっとも簡単で正確な方法は、
ブラウザ標準APIの crypto.randomUUID() を使うことです。
const id = crypto.randomUUID();
console.log(id);
// 例: "b6bdfbc7-f0db-49a6-8e3e-111e56ebd410"特徴
- UUID v4 を標準形式で返す
- 高品質な乱数(暗号論的乱数)を利用
- コードが短い
- ブラウザ・Node.js(v19以降)で利用可能
- HTTPS環境での使用が推奨される
2025年の現時点では、主要ブラウザのほぼすべてが対応しているため、
最新環境であれば最優先で採用したい方法です。
3-2. 独自実装(Math.randomベース)は推奨されない
Web上には、古くから次のような“UUIDっぽい文字列”を生成する独自関数が多くあります。
function generateGUID() {
return 'xxxxxxxx-xxxx-4xxx-yxxx-xxxxxxxxxxxx'.replace(/[xy]/g, function(c) {
const r = Math.random() * 16 | 0;
const v = c === 'x' ? r : (r & 0x3 | 0x8);
return v.toString(16);
});
}
console.log(generateGUID());なぜ推奨されないのか?
Math.random()は暗号論的に弱い(予測できる)- セキュリティ用途に向かない
- 「UUID風」の形式は守れても正確性に欠ける
- 乱数の質が低く、大規模環境では衝突リスクが高い
ただし、
「小規模な個人アプリ」や「一時ID」など軽い用途なら実用上問題ない場合もある
ため、用途に応じて使われ続けています。
3-3. ライブラリ uuid を使う(Node.js必須の場面向け)
Node.jsや、より高度なUUIDが必要な場面では、uuid ライブラリを使うのが定番です。
インストール:
npm install uuid
使用例:
import { v4 as uuidv4 } from 'uuid';
console.log(uuidv4());
// "c48a92c8-a3e2-4e90-9f5b-a61a9836902b"
利点
- RFC4122準拠のUUID v1, v3, v4, v5 に対応
- 名前空間ベースのUUID(v5)が使える
- 企業・業務レベルで使われ続けている実績がある
- テストしやすく、安定性が高い
どんな時に使う?
- Node.js環境で「v5(名前空間UUID)」を使いたい
- ブラウザとサーバーの両方で同じUUID生成をしたい
crypto.randomUUID()非対応の古い環境がある- 企業内で「uuidを使うこと」というルールがある
3-4. どれを使うべきか?まとめ
| 方法 | 乱数品質 | 標準性 | 推奨度 | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| crypto.randomUUID() | 高い(暗号論的乱数) | 標準 | ★★★★★ | 最初の選択肢。ブラウザ・Node最新環境 |
| 独自実装(Math.random) | 低い | 非推奨 | ★★☆☆☆ | 小規模・一時ID向け |
| uuidライブラリ | 非常に高い | RFC準拠 | ★★★★☆ | Node.js、v5など特殊用途 |
2025年現在の基準では、
まずは crypto.randomUUID() を使い、必要があれば uuid ライブラリを追加する
という流れが最も合理的です。
4. コード実例(ブラウザ/Node.js)
ここからは、実際にプロジェクト内でそのまま使える GUID(UUID)生成コードの実例 を紹介します。
環境によって最適な書き方が異なるため、ブラウザ編とNode.js編に分けて整理します。
4-1. ブラウザでGUIDを生成する
4-1-1. 最も推奨される方法:crypto.randomUUID()
現行のブラウザでは、次の1行がもっとも安全で正確です。
const id = crypto.randomUUID();
console.log(id);
メリット
- 暗号論的に強い乱数を自動生成
- RFC4122に準拠したUUID v4を返す
- 追加ライブラリが不要
- 可読性・保守性が高い
補足:HTTPS環境が前提
crypto 系APIはセキュリティ上の理由から、
基本的に HTTPS(または localhost)で動作するよう設計されています。
4-1-2. 古いブラウザ向けのフォールバック関数
crypto.randomUUID() に未対応のブラウザが必要な場合は、
フォールバック用に独自実装を併用する方法があります。
function uuidFallback() {
return 'xxxxxxxx-xxxx-4xxx-yxxx-xxxxxxxxxxxx'.replace(/[xy]/g, (c) => {
const r = Math.random() * 16 | 0;
const v = (c === 'x') ? r : (r & 0x3 | 0x8);
return v.toString(16);
});
}
const id = (crypto.randomUUID ? crypto.randomUUID() : uuidFallback());
console.log(id);
この書き方なら、
- 対応ブラウザ →
crypto.randomUUID() - 非対応ブラウザ → フォールバック
と両立できます。
※ただし、暗号強度はフォールバックが劣る点に注意。
4-2. Node.jsでGUIDを生成する
Node.jsでは、バージョンによって利用できる手段が異なります。
4-2-1. Node.js v19以降:crypto.randomUUID() が利用可能
Node.jsでも、ブラウザと同じAPIが使えます。
import { randomUUID } from 'crypto';
const id = randomUUID();
console.log(id);
CommonJS なら:
const { randomUUID } = require('crypto');
console.log(randomUUID());
Node.js v19 以降を使う環境であれば、この方法が最も推奨されます。
4-2-2. Node.jsで確実にUUIDを使いたい場合:uuid ライブラリ
プロジェクトや企業内の規約で
「必ず uuid を使うこと」
と定めているケースも珍しくありません。
インストール:
npm install uuid
使用例:
import { v4 as uuidv4 } from 'uuid';
const id = uuidv4();
console.log(id);
v1, v3, v5 の使用例
import { v1 as uuidv1, v5 as uuidv5 } from 'uuid';
// 時刻ベース
console.log(uuidv1());
// 名前空間ベース(URL)
const NAMESPACE_URL = uuidv5.URL;
console.log(uuidv5('https://example.com', NAMESPACE_URL));
UUID v5 は「同じ入力なら常に同じUUIDが返る」ため、
- URLの識別
- ドメイン名ベースのID
- 外部連携で安定した識別子が必要
などの用途に適します。
4-3. UUIDの形式変換(ハイフン除去・大文字化など)
実際の開発では、以下のニーズも多いです。
4-3-1. ハイフンを除去する
const id = crypto.randomUUID().replace(/-/g, '');
console.log(id); 結果は 32 桁の文字列になります。
4-3-2. 大文字変換
const id = crypto.randomUUID().toUpperCase();
console.log(id)4-3-3. ハイフン無し&大文字
const id = crypto.randomUUID().replace(/-/g, '').toUpperCase();
console.log(id);企業内システムでは、独自フォーマットが求められることもあります。
4-4. 「やってはいけない実装」例
初心者がやりがちなのが、次のような単純ランダム文字列で代用するパターンです。
// 良くない例(衝突しやすい)
const id = Math.random().toString(36).slice(2);これは短いし便利ですが、
- 乱数の質が低い
- 長さが不足
- UUIDの形式ではない
という問題から、GUID用途には使えません。
ここまでで、ブラウザとNode.js双方における
確実に使えるGUID生成コード を一通り確認できました。
5. 生成したGUIDを使う場面とベストプラクティス
GUID(UUID)は「とにかく重複しにくいID」として便利ですが、
実務では どんな場面で使うと効果的なのか が重要になります。
ここでは、Webフロントエンド、バックエンド、DB設計、ログ管理など
さまざまな状況での具体的な活用方法をまとめていきます。
5-1. データベースの主キーとして使う場合
GUIDを主キーにすると便利な理由
- 連番ID(1, 2, 3…)よりも予測されにくい
- 分散システムでID生成を統一しやすい
- バックエンドとフロントエンドの両方でIDを作れる
- サーバーの台数が増えても衝突しにくい
一方で注意点
- インデックスの並びがランダムになり、パフォーマンス低下の原因になる
- 数値型の主キーよりサイズが大きく、ストレージ消費が増える
- 並び順を保証しにくい
この問題を緩和するために、
「順序付きUUID(例:ULID・UUIDv7)」を採用するケースも増えています。
※今回の記事は「GUID(UUID v4)」がテーマなので、ULIDは補足的に触れるだけにします。
5-2. フロントエンド側での一時IDとして使う
JavaScriptでは、サーバー保存前の暫定データに
一時的な一意のID を付ける場面が多くあります。
よくある例
- ToDoアプリ:まだ保存していないタスクにIDを付けたい
- チャットアプリ:送信前のメッセージに仮IDを付ける
- フォーム入力の一時データ管理
- 複数のファイルアップロード処理
このような場面では、
特に crypto.randomUUID() がシンプルで強力です。
サーバーに保存した後は、
バックエンド側で生成した正式IDと順番に置き換える
という設計がよく使われます。
5-3. トラッキングID・セッションIDとして使う
GUIDは、ログや分析系でも強力な武器になります。
トラッキングIDの例
- ページ閲覧ごとに生成して、ログと突き合わせる
- ユーザーの行動履歴を分析する
- エラーログと問い合わせ番号を一致させる
セッションIDで使う場合の注意
GUIDの生成方法自体は強力ですが、
セッションIDとして使う場合は追加のセキュリティ処理が必須です。
- 暗号論的乱数(CSPRNG)必須 →
crypto.randomUUID()ならOK - HTTPS必須
- Cookieには
HttpOnlyとSecureを付ける
GUIDが安全だからといって、
そのままセッションIDにしてしまうのは危険です。
5-4. ファイル名・ディレクトリ名として活用する
サーバーサイドで、アップロードされたファイルを保存するときは
衝突しないファイル名を自動生成したい場合があります。
例:
const filePath = `/uploads/${crypto.randomUUID()}.png`;
こうすると、同名ファイルが上書きされる心配がありません。
よくある用途
- 画像の保存ファイル名
- 一時フォルダの生成
- バックアップファイルの識別子
- 外部API連携時の一意トークン
簡単ですが、実務では非常に強力です。
5-5. 名前空間UUID(v5)が必要になるケース
uuid ライブラリで生成できる UUID v5 は、
入力に基づいて決定的に(同じ入力→同じ結果)生成される特徴があります。
用途の例
- WebサイトのURLから安定した識別子を作る
- 外部システムとキーを合わせる必要がある
- ドメイン名ベースの一意なIDが必要
例:
import { v5 as uuidv5 } from 'uuid';
const id = uuidv5('https://example.com', uuidv5.URL);
console.log(id);静的なIDが必要な時は非常に便利です。
5-6. 実務でのベストプラクティスまとめ
以下を押さえておくと、GUIDを使いこなせます。
◎ まずは crypto.randomUUID() を最優先
理由:ブラウザ・Nodeともに高品質で標準的。
◎ セキュリティ用途では絶対に Math.random() を使わない
理由:予測可能性が高く危険。
◎ Node.jsで高度なUUIDを使うなら uuid ライブラリ
特にv5(名前空間)が必要な場面。
◎ DBの主キーに使う場合は、ランダム化による性能低下に注意
UUID v7 や ULID を検討するとさらに良い。
◎ ログや一時IDにはUUIDは極めて有効
ブラウザ側で簡単に生成でき、サーバー側との突合に便利。
6. よくある誤解・落とし穴
GUID(UUID)はとても便利ですが、実務で使ううえで誤解されがちなポイントや、初心者が思わずやってしまう失敗例がいくつかあります。
ここではそれらを整理し、失敗しないための注意点をまとめます。
6-1. 「GUIDは絶対に重複しない」という誤解
UUIDは「重複しにくい」よう設計されていますが、
“絶対に”重複しないわけではありません。
UUID v4(ランダム型)は、
理論上は衝突する可能性はありますが、その確率は極めて低く、
現実的にはほぼ無視できます。
なぜこの誤解が危険なのか?
- 異なるシステム間で「UUIDなら100%重複しない」と思い込む
- 同じ入力で同じ結果が欲しいのにv4を使ってしまう
- 衝突した時の処理を全く考えていない設計になる
結論:UUIDに絶対はないが、現場では“一意とみなしてOK”
というスタンスが適切です。
6-2. Math.random() ベースのUUID風関数は本番に使えない
古い記事やブログでは、次のようなコードがいまだに多く紹介されています。
// よくある「それっぽい」実装
const id = 'xxxxxxxxxxxx4xxxyxxxxxxxxxxxxxxx'.replace(/[xy]/g, c => {
const r = Math.random() * 16 | 0;
const v = c === 'x' ? r : (r & 0x3 | 0x8);
return v.toString(16);
});しかし、この方法は 本番利用には不向き です。
理由
- Math.random() は暗号論的に弱い → 予測される可能性がある
- 乱数の質が低いため、GUID用途には適さない
- RFC準拠ではない
- セキュリティ用途(セッションIDなど)で使うと危険
どうしても古い環境が必要な場合を除き、
今は crypto.randomUUID() を使うべきです。

6-3. ハイフンを独自に変えたり、短縮するのは要注意
UUIDを次のように加工して使う事例をよく見かけます。
- ハイフンを削除する
- 一部だけ切り取って使う
- 8桁だけ短縮する
- 大文字に変える
何が問題?
- 他システムと連携する時にフォーマットが合わなくなる
- 仕様書で “UUID形式” と明記されている場合に不正扱いされる
- 本来の意味(識別子としての一意性)が弱まる場合がある
ただし、
内部システムだけで使う場合は問題ないケースが多いため、状況次第では許容されます。
結論:外部公開するAPIやDBは標準形式(8-4-4-4-12)を基本にする
6-4. セッションIDとしてそのまま使うのは危険
GUIDのランダム性が高いからといって、
そのまま「セッションID」として採用すると危険です。
なぜ?
- セッションIDは 暗号化・署名・認証 がセットで必要だから
- Cookie側の
Secure、HttpOnly、SameSite属性設定も必須 - セッション関連攻撃(固定攻撃・ハイジャック)を防ぐ必要がある
GUIDは IDとして強いだけで、セッション管理としての安全性は別問題 です。
6-5. DBのインデックスが急激に遅くなるケースがある
UUIDをそのまま主キーにすると、
インデックスがランダムに散らばるため、
DBによっては性能が低下することがあります。
よく起きる症状
- INSERTが遅くなる
- インデックスが断片化する
- バルク処理の速度が落ちる
特に、
- MySQL
- PostgreSQL
- SQLite
などで影響が出やすい傾向があります。
対処例
- UUIDv7(時系列型)を使う
- ULIDを使う
- DB内部では連番を使い、外部公開IDとしてUUIDを使う
- シャーディング・分散ID生成(Snowflake系)を併用
6-6. UUID v1 の時刻情報でプライバシーが漏れる可能性
UUID v1 は「MACアドレス+時刻ベース」で生成されるため、
以下のリスクがあります。
- デバイスのMACアドレスが推測される
- 時刻情報から「いつ生成したか」が分かってしまう
そのため、
プライバシー的な懸念がある用途ではv1を避けるのが通例です。
6-7. uuid ライブラリとブラウザAPIを混在させるミス
フロントエンドとバックエンドの両方でUUIDを使うと、
- バックエンド →
uuidライブラリ - フロントエンド → 独自実装(Math.random)
- 一部ブラウザ → crypto.randomUUID
という“ぐちゃぐちゃ状態”になりがちです。
結果
- 形式が混在する
- 一意性が保証できない
- ログやトラッキングIDが揃わない
- デバッグが過剰に難しくなる
解決策
- 生成方針をプロジェクトで統一する
- できれば “すべて crypto.randomUUID()(対応外は uuidライブラリ)” が理想
7. 導入・利用時チェックリスト
GUID(UUID)は便利な仕組みですが、
導入する前に 「本当にその方法で良いのか?」 を確認することで、後々のトラブルを避けられます。
ここでは、プロジェクトでUUIDを使う際に便利な チェックリスト形式 で要点をまとめます。
以下の項目を順番に確認すれば、GUID導入時の判断がスムーズになります。
7-1. UUID生成方法のチェック
□ crypto.randomUUID() が利用可能か?
- ブラウザ → 主要ブラウザはほぼ対応
- Node.js → v19以降で利用可能
- HTTPS環境が前提
利用可能なら最優先で採用。
□ 対応していない環境がある?
古いブラウザや特殊環境がある場合は、下記も検討します。
uuidライブラリ- フォールバック用の独自実装
ただし、フォールバックは暗号強度が弱まるため、セキュリティ用途では慎重に。
□ Math.random() ベースを使おうとしていないか?
- 「UUID風」ではあるが完全なUUIDではない
- 本番環境には不向き
- 小規模・一時IDに限定するべき
セキュアな用途であれば絶対に避ける。
7-2. UUIDの形式・仕様の確認
□ RFC4122準拠の形式が必要か?
外部APIや仕様書で「UUID形式を使用」と書いている場合は必須。
□ ハイフン有り/無しの形式を決めているか?
- 標準:8-4-4-4-12
- 内部用途でハイフン除去したい場合は可
- 外部と連携する場合は標準推奨
□ 大文字・小文字変換が必要か?
- 通常は小文字
- 大文字が求められるレガシーシステムも存在
- 方針を統一しておく
7-3. データベース利用時のチェック
□ 主キーに使う場合、性能への影響を理解しているか?
UUID v4 はランダム性が高く、
インデックスが分散しやすいため性能が劣化する可能性があります。
対処案:
- UUID v7(時系列型)
- ULID
- 連番IDを主キーにし、UUIDは公開IDとして使う
□ カラムの型を適切に選んでいるか?
DBによっては:
- CHAR(36)
- CHAR(32)
- UUID型(PostgreSQLなど)
を使えます。
誤った型だと無駄な容量を使ったり、検索が遅くなったりします。
7-4. セキュリティ用途のチェック
□ セッションIDに使っていないか?
GUIDは便利ですが、
セッションIDに使用するには追加対策が必要です。
- Cookieに
Secure、HttpOnly、SameSite - トークンの署名・暗号化
- CSRF対策
UUIDをそのままセッションIDとして使うことは避けるべきです。
□ プライバシーに配慮したバージョンを使っているか?
UUID v1 は MACアドレスや時刻から生成されるため、
特定環境ではプライバシーリスクがあります。
UUID v4 がもっとも一般的で安全。
7-5. プロジェクト内で生成方法が統一されているか?
□ バックエンドとフロントエンドで混在していないか?
よくある悪い例:
- フロント → Math.random() の独自実装
- サーバー →
uuidライブラリ - 追加ツール → crypto.randomUUID()
これでは識別子の整合性が取れず、管理が難しくなります。
□ プロジェクトとしてルールを決めているか?
- 「UUIDは
crypto.randomUUID()を基本とする」 - 「Node.js では uuid ライブラリを使う」
- 「ハイフンの有無は標準形式とする」
など、チーム方針が明確だとトラブルを避けやすくなります。
7-6. 運用面のチェック
□ ログやトレースIDとして採用できるか?
UUIDは、
- リクエストID
- エラートラッキング
- ログ照合
に非常に向いています。
IDの統一でデバッグ効率が大幅に向上します。
□ バックアップファイル名・一時ディレクトリに使う?
運用スクリプトでもUUIDは重宝します。
- 一時ファイル名
- バッチ処理の識別子
- 作業ディレクトリの命名
衝突しにくいので安全です。
8. まとめ
GUID(UUID)は、JavaScriptを含む多くの開発環境で利用される
「重複しにくい識別子」を生成するための重要な仕組みです。
本記事では、GUID/UUIDの基礎から実践的な生成方法、
さらには注意点や活用パターンまで幅広く解説してきました。
ここでは、要点を整理しながら全体像を振り返ります。
8-1. GUID/UUIDとは何か
- 世界中でほぼ重複しない識別子
- RFC4122 準拠の形式が一般的(8-4-4-4-12)
- GUID と UUID の違いはほぼ名称の違い
UUIDは、フロント/バックエンド問わず、
さまざまな開発現場で「信頼性の高い一意なID」として機能します。
8-2. JavaScriptでの生成は crypto.randomUUID() が基本
- 2025年現在、主要ブラウザとNode.js(v19以降)で利用可能
- 暗号論的に高品質な乱数を使用
- 正確なUUID v4を返す
- コードが短く可読性も高い
まずは このAPIを使うのが最も正しい選択肢 です。
8-3. 環境や用途によってライブラリやフォールバックを併用
次のようなケースでは uuid ライブラリが強力です。
- Node.js で v5(名前空間UUID)が必要
- 非対応ブラウザが想定される
- 大規模プロジェクトで仕様統一が必要
逆に、Math.random() ベースの独自実装は
本番やセキュリティ用途には向かない ことを忘れてはいけません。
8-4. 使いどころとベストプラクティス
GUIDは、単なるIDではなく「運用の質を高めるツール」でもあります。
代表的な活用シーン:
- フロントエンドの一時データID
- ファイル名・ディレクトリ名
- トラッキングID(リクエストID・エラーログID)
- 外部公開用の識別子
DBの主キーで使う場合は性能劣化の可能性あり。
必要に応じて UUID v7 や ULID なども検討するとよいでしょう。
8-5. よくある誤解と注意点
- UUIDは「絶対に」重複しないわけではない
- v1 は時刻やMACアドレス情報が含まれるためプライバシーに注意
- セッションIDに直接使うのは危険(追加の安全策が必要)
- UUID形式の加工(短縮・大文字化)は用途によっては非推奨
プロジェクト全体で 生成方法を統一する ことで、
円滑な運用と高い信頼性が担保できます。
8-6. GUIDの導入は「目的」と「環境」で選ぶ
最終的には以下の判断がもっともシンプルです。
- 最新ブラウザ・Node.js
→crypto.randomUUID()一択 - Node.jsで高度なUUIDを使いたい
→uuidライブラリ - 古い環境もサポートしたい
→ 標準+フォールバック - セキュア用途
→ RFC準拠・HTTPS必須
GUIDは、
単に“IDを発行する”以上の価値があり、システム設計の土台にもなる要素です。
次は、実際の開発現場で頻出する質問をまとめた
「FAQ(よくある質問)」を掲載します。
初心者はもちろん、実務レベルの開発者も疑問が解消できる内容です。
引き続き読み進めてください。
9. FAQ(よくある質問)
JavaScriptでGUID(UUID)を扱う際には、多くの開発者が共通して疑問に感じるポイントがあります。
最後に、実務で特に頻出する質問をまとめて分かりやすく解説します。
9-1. GUIDとUUIDは何が違うのですか?
本質的には ほぼ同じもの です。
- UUID:RFC4122で標準化された名称
- GUID:Microsoft系の名称(実質UUIDと同義で使われる)
日本語記事では「GUID」で検索されることも多いですが、
JavaScript・Node.js の世界では「UUID」が一般的です。
9-2. JavaScriptで最も安全なUUID生成方法はどれですか?
crypto.randomUUID() が最も安全で推奨されます。
理由:
- 暗号論的に強い乱数(CSPRNG)
- UUID v4 を標準形式で生成
- ブラウザ・Node.jsともに対応
- RFC準拠で信頼性が高い
2025年の現時点では、
新規のプロジェクトはほぼ全て crypto.randomUUID() で問題ありません。
9-3. Math.random() を使ったUUID風のコードは使ってはいけませんか?
「絶対にダメ」ではありませんが、
本番やセキュア用途では使うべきではありません。
理由:
- 乱数が予測されやすい
- 衝突リスクが高い
- 正規のUUIDではない
軽い用途(ローカル一時IDなど)なら実用できますが、
標準APIや uuid ライブラリが簡単な現代では使う意義は小さいです。
9-4. Node.jsでUUIDを使う場合、ライブラリは必要ですか?
Node.js 19 以降であれば crypto.randomUUID() が標準で使えます。
ただし、以下の場合は uuid ライブラリが必要になります。
- UUID v1 / v3 / v5 を使いたい
- 名前空間(URLなど)ベースのUUIDが必要
- 企業内で「uuidを使う」というルールがある
業務用途では依然として人気のあるライブラリです。
9-5. UUIDの一部を切り取って短縮するとどうなりますか?
一意性が大幅に下がるため、推奨されません。
よくある例:
crypto.randomUUID().slice(0, 8)
短い方が扱いやすいですが、
32〜36文字あってこその衝突耐性です。
どうしても短縮したい場合は ULID や nanoid といった
別のID生成方式を検討する方が合理的です。
9-6. UUID v1(タイムスタンプ型)を使ってもいいですか?
使えますが、プライバシー上の注意が必要です。
UUID v1 は
- MACアドレス
- 生成時刻
が含まれるため、
環境によっては情報が露出する可能性があります。
現代では v1 よりも v4(ランダム型) が圧倒的に標準的です。
9-7. UUIDはセッションIDとして使っても大丈夫ですか?
UUIDだけでは 不十分です。
セッションIDは次の要件を満たす必要があります。
- 暗号化・署名
- CSRF対策
- Cookieの
Secure/HttpOnly/SameSite - 推測困難性
- トークン失効
UUIDは「強度の高いIDに過ぎない」ため、
セッション管理としての要件は別途必要です。
9-8. UUIDの衝突は実際に起きますか?
理論的には「あり得る」ですが、
UUID v4 の衝突確率は天文学的に低く、
通常のWebサービス開発では無視して問題ありません。
衝突を気にする必要があるレベルは、
Twitter規模の巨大分散システムなど、特殊な世界です。
9-9. DBの主キーをUUID v4にすると重くなると聞いたのですが?
これは 事実です。
UUID v4 はランダム性が強いため、
インデックスがバラバラに挿入され、
性能低下の原因になることがあります。
対策:
- UUID v7 を使う(時系列型)
- ULID を使う
- 主キーは連番、公開IDだけUUIDにする
用途と規模に応じて選ぶのがベストです。
9-10. フロントエンドとバックエンドでUUIDが混在しても大丈夫?
可能ですが、生成方法は必ず統一すべきです。
NG例:
- フロント → Math.random() の自作UUID
- バックエンド → uuidライブラリ
- 他サービス → crypto.randomUUID()
この状態だと IDの品質がバラバラになり、
ログ照合・検索・デバッグなどが非常に難しくなります。
プロジェクト内で「UUID生成のルール」を明確に決めるのが最重要です。



